金沢五社を巡る聖地巡礼 ~城下町を護る五つの社と加賀藩の祈り~
- 所要時間:
- 6時間
- 移動手段:
- 徒歩とバス
金沢の観光といえば、兼六園や茶屋街が有名ですが、その裏側には江戸時代から続く「祈りのカタチ」が隠されています。
加賀藩主・前田家が篤く崇敬した「金沢五社」を巡り、開運と歴史の息吹に触れる旅に出かけてみませんか?
【金沢五社とは?】
江戸時代に加賀藩の安泰を願い、前田家より篤く信仰された5つの由緒ある神社。それぞれに異なるご利益があり、金沢の歴史の断片を今に伝えています。
・安江八幡宮: 火除けや病気平癒の神様として親しまれる、金沢の郷土玩具のルーツ。
・小坂神社: 全国でも珍しい「四間社流造」の建築美が光る、静寂の聖域。
・宇多須神社: 加賀藩祖・前田利家公を祀り、ひがし茶屋街のすぐそばに佇む由緒ある社。
・椿原天満宮: 学問の神様・菅原道真公を祀る、受験生や受験を控えた家族に人気のスポット。
・神明宮: 300年以上続く「あぶりもち神事」で知られ、厄除けのパワーが宿る古社。
安江八幡宮
刀鍛冶の魂と「加賀八幡起上がり」のふるさと

金沢駅から徒歩圏内にある、旅の始まりにふさわしい神社です。
【御祭神】応神天皇、神功皇后、玉依姫命
【歴史】かつてこの一帯は「安江鍛冶町」と呼ばれ、多くの刀鍛冶が住んでいました。
刀造りの最も重要な工程である「水火の伝授(刀剣製作時の水と火の加減の秘技の伝授)」がこの神社で行われていたところから、今でも「鍛冶八幡さん」として親しまれています。
また、前田家の歴代藩主や大聖寺藩主からも厚く崇敬され、城下の火災を防ぐ「火防(ひぶせ)」や「病気平癒」の祈願所として、社殿の修繕や豪華な祭器具の寄進を繰り返し受けてきました。
【ここがポイント】石川県のマスコットキャラクターとして知られる「加賀八幡起上がり」の発祥地です。加賀八幡起上がりは、倒れても起き上がる姿に、人それぞれの願いを重ねてきた安江八幡宮に伝わる縁起のかたちです。
真っ赤な産着を着た愛らしい姿のルーツは、ここに祀られている応神天皇がお生まれになった頃のお姿を写していると言われています。境内には、加賀八幡起上がりの大きな像があり、フォトスポットとしても人気です。
北鉄バス(東山線 柳橋行など)で「山の上」下車
下車後徒歩5分
小坂神社
病気平癒の霊験あらたかな社

城下町の北郊、山の上町に位置する古社。
【御祭神】天兒屋根命、武甕槌神、経津主神、比咩大神、饒速日命
【歴史】養老元年(720年)創建と伝えられる「延喜式内社」の一つであり、加賀国でも屈指の歴史を誇ります。古くは奈良の春日大社の神領(領地)であったことから、この地域一帯の春日社の総社として厚く信仰されてきました(「金澤古蹟志」より)。社殿は一度消失しましたが、寛永13年(1636年)加賀藩主前田家に依り再興されました。
特に、徳川家から嫁いだ珠姫(加賀藩前田家3代の正室)が病に伏した際、境内の富士社に祈願したところ、見事に快復したと伝えられており、以来「病気平癒の霊験あらたかな社」 として藩主一門に重用されました。
【ここがポイント】本殿は、全国でも珍しい「四間社流造」。通常、神社の柱の間数は「奇数」が基本ですが、ここは「偶数(四間)」。金沢市における神社本殿建築として貴重な建造物といえます。
宇多須神社
茶屋街に隠された「藩祖・利家公」への秘密の祈り

【御祭神】高皇産靈神、武甕槌男命、大國主神、市杵嶋姫命、大山祇命、八重言代主命、少彦名神、宇迦之御魂命、豐受大神、崇徳天皇
【歴史】奈良時代からこの地の産土神(守り神)として崇められてきた古社です。
江戸時代、徳川幕府への配慮から、藩祖・利家公を公然と祀ることができませんでした。そこでここを 「卯辰八幡宮」と称し、秘密裏に利家公の神霊を祀ることで、前田家の精神的な拠点としたのです。
江戸時代が終わりを告げた明治時代、ようやく利家公を公に祀ることができるようになり、「尾山神社」が創設されました。現在、利家公とおまつの方は尾山神社に鎮座されていますが、その「はじまりの場所」はこの宇多須神社にあります。
また、五代綱紀が重病を克服した際に使われたと伝わる「利常公酒湯(さけゆ)の井戸」など、歴代藩主の命を救った奇跡の逸話が今も大切に守られています。
【ここがポイント】忍者が潜んでいたという伝説や、節分の時期の賑わいなど、茶屋街の文化と密接に関わってきた歴史の深さを感じられます。
バスで約9分、「金沢大学病院」で下車
下車後、徒歩11分
椿原天満宮
前田家のルーツとされる、学問の神様が鎮座する「東の要」

【御祭神】菅原道真公
【歴史】この地はかつて、一向一揆の拠点であった二俣本泉寺や瑞泉寺(現在の富山県南砺市)へと続く交通の要所でした。そのため、戦国時代には一向一揆の大将・洲崎兵庫が陣を構えた駐屯地でもあったと伝えられています。加賀藩の時代になると、前田家は自らを「学問の神様・菅原道真公の末裔」と称したことから、天満宮を「一族の守り神」として、この神社を非常に大切にしました。
【ここがポイント】受験シーズンには、前田家ゆかりの「文武両道」のパワーを授かりに多くの参拝者が訪れます。
路線バスにて約12分。香林坊バス停にて下車。徒歩11分
神明宮
1000年の御神木と、300年続く「あぶり餅」の伝統

旅の締めくくりは、犀川(さいがわ)のほとりに鎮座する、金沢屈指の古社へ。
【御祭神】天照皇大神、豊受姫神
【歴史】古来より“お神明(しんめい)さん”の愛称で親しまれ、300年以上の歴史を誇る「あぶり餅神事」で知られています。
この神事では、神聖な扇の形に刺した餅を御神火で炙り、それを食べることで厄除けや災難除けのご利益があると信じられています。
【ここがポイント】文豪・室生犀星が幼少期を過ごした「雨宝院」のすぐ近くにあり、幼い頃よく遊び場にしていたと云われています。
また、詩人・中原中也は幼年期を金沢で過ごした際、父に連れられて当宮境内で軽業を見た自らの思い出を題材にして詩『サーカス』を作ったとされています。
境内にそびえる樹齢1,000年の巨大なケヤキは圧巻の一言。加賀百万石の誕生から現代まで、金沢のすべてを見守ってきたこの大樹から、時代を超えたエネルギーをチャージしましょう。






