用水のまち金沢:400年の時を超える「水の魔法」
- 所要時間:
- 約2時間30分
- 移動手段:
- バスと徒歩
金沢は、まちなかを網の目のように水が流れる、全国でも珍しい「用水のまち」です。その数55本、総延長は150km。水の流れが生み出す美しい景観を巡りながら、金沢の歴史や用水が果たす役割について考えます。
<動画で見る金沢の用水>
兼六園
日本最古といわれる噴水と、400年前の驚きの水の仕掛け!

日本三名園の一つ「兼六園」。 ここには、現代の私たちが見ても「どうやってるの?」と驚くような水の仕掛けが隠されています。それらを解き明かす鍵が、今回紹介する「辰巳(たつみ)用水」です。
1. ポンプなしで吹き上がる!「日本最古といわれる噴水」の秘密
兼六園内の料理屋「兼六亭」の前に、日本最古といわれる噴水があります。
驚きのポイント: 電気もポンプも一切使っていません。
仕組み: 園内の高い位置にある「霞ヶ池」との高低差(自然の水圧)だけで、約3.5mも水を吹き上げています。「高いところから低いところへ水が流れる力」を計算して作られた、江戸時代のサイエンスです。
2. 「辰巳用水」ってなに?
辰巳用水は400年前の「巨大インフラプロジェクト」でした。
全長: 犀川の上流にある取水口から兼六園まで約11km
完成年: 1632年(寛永9年)
目的: 1631年(寛永8年)の大火を契機に、金沢城の水利改善を目的として造られたとされています
驚きのポイント: 小立野(こだつの)台地の地形の特徴を巧みに利用して用水経路を設定し、上流部では隧道(トンネル)、最下流部では伏越(ふせこし・逆サイフォン)という当時の先端技術を駆使したこと。
▶▶▶ 逆サイフォンの原理とは? 水を一度低いところに落とし、その勢い(水圧)で再び高いところへ押し上げる仕組み。400年前にすでに実用化されていました。
(画像:パンフレット「辰巳用水 附 土清水塩硝蔵跡(平成26年3月発行)」掲載画像)
金城霊澤
金沢の地名の由来となった伝説の湧き水

兼六園の横にある金澤神社のそばに「金城霊澤」という泉があります。その昔、芋掘藤五郎という男がこの湧き水でイモを洗ったところ、たくさんの砂金が出てきたという伝説が残っています。そこから「金洗いの沢」と呼ばれるようになり、「金沢」という地名の由来となった場所と伝えられています。現在では、金運のパワースポットとして人気です。
美術の小径
五感で楽しむ、水と緑の散策路

美術館や博物館が集まる「本多の森」エリア。小立野台地の上に建つ石川県立美術館と、平地に位置する金沢市中村記念館を結ぶ急な石段「美術の小径」には、「辰巳用水」が並行して流れて、日頃の喧騒を忘れさせてくれる雰囲気が漂っています。
- 住所
- 石川県金沢市本多町3
せせらぎ通り
鞍月用水が流れる美しい通り

金沢の中心部に、ふと足を踏み入れたくなる、おしゃれで静かな通りがあります。
名前は「せせらぎ通り」。カフェやショップが並び、地元の人も観光客も、思わず足を止めてしまうような心地よい空気が流れています。
「せせらぎ」とは浅瀬を流れる水の音やその様子を指す言葉で、その名の通り、通りのすぐ横には「鞍月用水」が流れ、街の中にいながらにして優しい水の音が聞こえてきます。
実は、高度経済成長期、車の通行を優先させるため、用水の上に蓋がされ一時期暗渠と化していましたが、用水の保全を目的に、蓋は外され現在の美しい風景が取り戻されました。
用水が創り出す豊かな風景、音を感じてみてください。
- 住所
- 石川県金沢市香林坊・長町
千田家庭園
「大野庄用水」を巧みに利用した旧加賀藩士が作庭した庭園

長町武家屋敷跡に佇む、目と耳で愉しむ隠れた名勝(金沢市指定文化財)
1894年(明治27年)、旧加賀藩士・千田登文(のりふみ)が兼六園に魅せられ、自らの手で造り上げた池泉回遊式庭園です。
庭の中心には穏やかな池が広がり、水は大野庄用水から巧みに引き込まれ、築山のまわりを巡って再び用水へと帰っていきます。この絶え間ない水の流れが、庭全体にやさしい命の気配をもたらしています。
池のほとりには、趣ある雪見灯籠や、赤戸室石(あかとむろいし)の石橋、築山には七福神にちなんだ石塔や景石が配され、随所に兼六園の趣が感じられます。近年、100年ぶりに滝の流れもよみがえり、清らかな水音も楽しめるようになりました。
庭木はアカマツやクロマツが中心で、池のまわりにはサツキやツツジが咲き誇り、春から初夏にかけては鮮やかな彩りに包まれます。
「滝」の音に加えて、入口に配された「ししおどし」の音が静けさを誘い、地中の甕に滴る水音が琴のように響く「水琴窟(すいきんくつ)」も、この庭ならではの魅力です。
園内には、千田登文にゆかりのある資料館も併設。幕末から明治へと移り変わる激動の時代を彼がどう生きたのか、貴重な資料や写真から垣間見ることができます。
喧騒を離れ、静かな時の流れに耳を澄ませるひとときを、ぜひお楽しみください。
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