縁が織りなす、好調な日本ブランドの金沢進出

注目される国内旅のなかでも、金沢は首都圏からのアクセスの良さはもちろん、美食や文化・歴史的財産に恵まれ、引き続き人気の旅先。何度訪れても新しい発見や感動があり、長く滞在するほど奥行きを感じられるという声も寄せられています。また京都ほど混雑しておらず、白川郷・五箇山など近隣の世界遺産も周遊しやすいため、広域観光の拠点としてインバウンドも急増しています。


そういった金沢が持つポテンシャル、国内外からの旅行者動向から、好調なファッション&ライフスタイルの日本ブランドによる金沢出店が加速中です。そこには人と人とをつなぐ貴重な縁がありました。いずれも日本の職人技や風土を意識したモノづくりを行っており、上質でありながら手に届く価格帯である点が特徴。それぞれのショップの雰囲気も、金沢の街に寄り添う工夫がなされています。


今回は金沢旅で訪れたいスポットとして、2026年にオープンしたばかりの3店舗を紹介します。旅先での高揚感で、日常より奮発した買い物になることも。金沢限定アイテムも展開されており、一期一会のプレミア感は旅の記念にもなるはずです。

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Maker’s Watch Knot 金沢東山ギャラリーショップ

  • 外観はひがし茶屋街の景観と調和する、艶やかな朱色の弁柄塗りの茶屋建築。 Photos:Masato Shiga

  • 店舗づくりでは既存の建築から引き算の美意識を心掛け、金沢店でも梁や格子を生かしている。Photos:Masato Shiga

  • “MUSUBU”パートナーとのストラップも豊富に展開している。Photos:Masato Shiga

  • 箔一とコラボレーションした「TAKUMI Collection 金沢箔」。400年の伝統を誇る職人技による、1万分の1ミリという極薄の素材だから実現した時計装飾。4色展開、40mm径、時計¥214,500 ストラップ¥11,000。 Photos:Masato Shiga

  • 80年近くの歴史を持つ金沢の木工芸メーカー、谷口。クリエイティビティ溢れる金沢らしい発想の素材“縫える木”から、日本の自然美や温かみを感じる桜を文字盤に採用。店内では“縫える木”のバッグなども販売。「ウッドダイヤルコレクション」36mm径、時計¥41,800~、ストラップ¥6,600 バックル¥550。 Photos:Masato Shiga

  • 日常のための本格機械式時計AT-38の10周年を記念し発売中のデザイン。グラデーションがモダンなパティーナ染色のレザーストラップ。各色50本限定、38mm径、ストラップ付き時計 各¥79,750 Photos:Masato Shiga

  • Apple Watchにも対応したストラップも人気。Photos:Masato Shiga

  • 店内には金継ぎの漆器ほか、金沢の工芸も展示。Photos:Masato Shiga

東京・吉祥寺を本拠地に、2014年にスタートした時計ブランド「Maker’s Watch Knot(メーカーズ ウォッチ ノット)/以下Knot」。時計、ストラップ、バックルを思いのままに組み合わせることができる、カスタマイズウォッチのパイオニアとして不動の人気を確立しています。すべてのサービスを体験できる“ギャラリーショップ”と名付けた直営店を、吉祥寺、表参道、横浜元町、京都など15店舗展開。今年4月、金沢らしい風情を残す人気観光地、ひがし茶屋街に新たな路面店をオープンしました。


「Knot」の魅力を支えるのは、日本の素材や技術を活かしたものづくり。これまでも栃木レザー、京都・昇苑くみひも、傘生地で知られる山梨・槙田商店など、日本各地の技術を採用してきました。工芸を“日常で使うもの”として提案する取り組みは、「日本の伝統と世界と結ぶリストウェア“MUSUBU”プロジェクト」として、ブランドのアイデンティティにもなっています。


日本での新たなグローバルコンセプトショップを構想するなか、その“MUSUBU”プロジェクトで以前より協業していた金沢を代表する金箔メーカー、箔一との得がたい縁により、工芸王国である金沢に出店することに。生活に溶け込む工芸の再発見の場として、また訪日旅行者にはメイド・イン・ジャパンの上質なものづくりへの入口を、と考えたとき、自然と金沢に絞り込まれたといいます。


金沢店オープン記念として、現在は金沢だけで生産されている金箔を、栃木レザーのストラップにあしらった箔一とのコラボレーションを展開。また金沢を拠点とする木製工芸品の谷口の、木材を布のように極薄にスライスする、唯一無二の技術を駆使した“縫える木”を使った時計もラインナップ。これらは厚みが1mmにも満たない文字盤の装飾に求められる、精密な技術を備えた工芸です。


縮小傾向にある日本の伝統工芸のすばらしさを、日常的に身につける腕時計を介し、伝えていきたいという思いのもと、加賀友禅、加賀水引細工、牛首紬など、石川・金沢の多彩な工芸との協業を今後さらに広げる予定です。


【Data】

住所:石川県金沢市東山1-8-16

TEL:076-214-8155

営業時間:10:00~18:00

店休日:不定休

公式サイト:https://knot-designs.com/pages/stores-higashiyama

HARIO CAFE 金沢店

  • エントランスは元武家屋敷ならではの重厚な門構え。

  • 「橋本建築造園設計」による余白を感じさせる和モダンな店内。椅子は加賀市で制作する「白雨(はくう)」。引き出しやすい軽量な栗の木を用い、座面には真田紐を編み込んだものも。

  • オーダーカウンターにはコーヒー抽出に使用する器具を陳列。浸漬式ドリッパー スイッチでの抽出を目の前で体験できる。

  • テリーヌショコラセット¥1,700。週末には金沢の人気サンドウィッチ専門店「サリュアンシャンテ」のサンドイッチなども提供。

  • ドリッパーからサイフォン、ポータブルボトルまで、「HARIO」の豊富なラインナップを展示販売。

  • バリスタも一目置く円錐形のドリッパーに、金沢の「吉井商店」とのコラボで金箔のあしらったデザインも展開。¥33,000。同シリーズのティーカップやフレーバーグラスも展開。

  • 耐熱ガラスを手加工したジュエリー。金沢の職人による金箔を施したHAKUシリーズのネックレス¥50,600

  • 雪つりのネックレス¥7,040 同ピアス(イヤリングも展開) ¥7,700 結びのピアス(イヤリングも展開) ¥8,800(右)。別運営ながら、能登の「CとH」と協業し復興支援、女性雇用に取り組むアトリエも市内新竪町に設けている。

1921年東京で創業、100年以上の歴史を持つ耐熱ガラスの企画・製造・販売メーカー「HARIO(ハリオ)」。シグネチャーの「HARIO Glass®︎」は日本国内製造で、100%天然素材を使用。煙突を使わないクリーンな工場で生産されており、環境に配慮していることも人気の理由です。ビーカーに代表される理化学品からスタートし、現在はコーヒー器具やティー用品で広く知られています。


自社製品の魅力を伝えるべく、2018年にスタートした「HARIO CAFE(ハリオ カフェ)」は、現在は国内に5店舗を展開しています。六本木の泉屋博古館、軽井沢の安東美術館など美術館併設のカフェを開くなど、カルチャーと親和性のある出店も特徴。北陸初となる金沢店のオープンは今年3月。江戸時代の土塀が残り、用水が流れる長町武家屋敷跡に店舗を構えています。場所柄、海外からの旅行者からは“サムライ ストリート”とも呼ばれる、伝統が息づく地域です。


金沢への出店は、建物主との縁が紡いだもの。魅力的な立地と重厚感のある建物を生かしつつ、「HARIO CAFE」らしい白木でミニマルな内装にフルリノベーション。清潔感と落ち着きのある空間で、「HARIO」のドリッパーやサイフォンで抽出したこだわりのコーヒーとともに、ゆったりとした時間を楽しめます。店内には金沢金箔をあしらったドリッパーなど、多彩なコーヒー・ティー器具も展示販売。


また職人の手仕事技術継承を目的にスタートした、耐熱ガラスのアクセサリーブランド「HARIO Lampwork Factory(ハリオ ランプワーク ファクトリー)」のアイテムも販売。金沢の冬の風物詩、雪つりや水引の結びをモチーフにした限定アイテムもラインナップしています。


【Data】
住所:石川県金沢市長町2-2-29
TEL:076-208-3860
営業時間:10:00~17:00(土日祝は8:30~)
店休日:年末年始
URL:https://www.hario-lwf.com/view/page/kanazawa 

Pasand by ne Quittez pas 金沢

  • 時の重なりが感じられる外観。現在は少なくなりつつある、この地域特有の艶やかな黒瓦も残されている。

  • 味わいのあるメイン空間にディスプレイされた「ne Quittez pas」や「Sara mallika」のドレス。

  • ニュアンスカラーの色壁や円窓の建具は元の建築のまま。

  • 現在では入手が難しい昔のガラスも生かして。

  • 奥の部屋にはゆったりとショッピングを楽しめるよう、くつろげるスペースも。設計は一級建築士の山内玲子さん。

  • 吹き抜けに飾られた杉田明彦さんの漆絵。

  • 特別キュレーション第一弾は陶芸家、野口悦士さんの作品。アートは金沢店のショップディレクター、播本知子さんが担当。

  • ガーデンデザイナー、Yard works 天野慶さんによる日本庭園。土地の記憶を持つ植物を生かし、引き算の美意識で。

インドの上質な素材や職人技とモダンなデザインを融合するファッションブランド「ne Quittez pas(ヌキテパ)」が、キュレーションするライフスタイルストア「Pasand by ne Quittez pas(パサンド バイ ヌキテパ)」。2020年の東京・青山の路面店オープンを皮切りに、現在直営店を全国9店舗に広げる人気ショップ。心地よくセンス溢れる提案が、感度の高い大人の女性たちから支持を得ています。


今年6月末、北陸初のショップを金沢にオープン。歴史薫る街の中心地に佇む、築80年超えの町家を改修した風情ある路面店です。オーナーの神 真美・豊田 勝夫妻は、ここ数年、金沢でのPOP-UPを年2回開催。もともと好きな街でしたが、交流を深めるなかで、さらに金沢の人々の温かさや美しい街並みに魅了されていったそうです。そして東京から移住した友人が営む店のすてきな町家空間に触発され、偶然今回の物件に出合い、店を開くことを即決めたのだとか。


店舗は大切に使われてきたことが伝わる古い建築をできるだけ残しながら、信頼するクリエイターのクラフツマンシップによって新たな形に。正門から前庭を通り、清々しい藍染めの暖簾を潜ると、2階の床を一部抜くことで実現した開放感のある空間が。天井の梁や柱、ガラス、また冬が厳しい金沢の建築の特徴でもある色壁も、自然な形で生かされています。さらに奥に進むと、陰影礼讃をイメージして整えた日本庭園が、四季折々の豊かな暮らしを伝えます。


ほかにも金沢を拠点にする漆芸家、杉田明彦さんの作品が展示されているほか、期間ごとに変化する特別なアートキュレーションも開催。そこに、この店らしい手仕事のエフォートレスなウェアやインテリアアイテムが共存し、唯一無二の世界観をつくり上げています。


【Data】

住所:石川県金沢市高岡町11-13

営業時間:11:00~18:00

店休日:月曜・火曜(祝日の場合は翌営業日休み)

URL:https://nequittezpas.jp

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