金沢21世紀美術館、人に話したくなるツウな見どころ教えます
ザ・定番の恒久展示作品から初耳(?)のアレまで。
知ると楽しい「21美」8つのポイント
目次
1.まずはSANAAによる建築から
2.有名作家の恒久展示作品をおさえよう
3.21美のウラ名物!? 椅子いろいろ
4.かつて学校だった頃を偲ぶ、樹木と札
5.地域のお店と連携してお得! アートdeまちあるき
6.市民じゃないけど「友の会」会員と言いたい
7.10年ごとに最先端に。CFCLによる3代目ユニフォームとは
金沢21世紀美術館公式サイトはこちら
1. まずはSANAAによる建築から
まちなかを歩いていて、公園のように開けた場所が現れる。それが金沢21世紀美術館だ。中央にある円形の建物が妹島和世+西沢立衛/SANAAの手がけた建造物。多くをガラスで覆われ、明るく開放感がある。世界各国から幅広い層の人に気に入ってもらえる仕掛けといえるだろう。まずは建築から見もの。ぐるっと1周まわって、全体を把握してみるのもいい。
2. 有名作家の恒久展示作品をおさえよう
有料エリアや無料エリアに点在している恒久展示作品は、参加・体験型が多いことも人気の秘密。特に恒久作品には難しいことを考えず一目瞭然な作品も多いので、お気に入りを見つけたい。あちこちに作品があるので、上下左右お見逃しなく。
ジェームズ・タレルの「ブルー・プラネット・スカイ」、オラファー・エリアソンの「カラー・アクティビティ・ハウス」、アニッシュ・カプーアの「L’Origine du monde」(要チケット)なども実際に目で見て楽しんでほしい。
3. 21美のウラ名物!? 椅子いろいろ
展示と同じくらい金沢21世紀美術館の名物となっているのが、ラビットチェアだ。館内の無料スペースに何脚も並べられていて、そのかわいいフォルムに写真を撮る人が続出。反対向きに座って、背もたれのウサギの耳を見せて撮るのが定番になっている。建築と同じSANAAによるデザインだ。ズラリと並んでいるのは木目デザインだが、ミュージアムショップ付近にはカラフルなものも数脚あるので探してみて。
まだたくさんの椅子が館内にあるので紹介したい。
同じくSANAAによるデザインのドロップチェアは外に置いてあり、鏡面に磨かれた座面に周囲の風景が映る。雨粒のようなフォルムからドロップと名付けられた。ちょっと腰掛けるのにちょうどいい小ささで、外で小休止のために座っている人が多く見られる。
おもに地下に置かれているのが、フラワーというソファ。3方向に伸びていて、どちらが正面でも裏側でもないカタチ。どこに座ってもいいし、合体させても構わない。美術館という場所に似合うフリーダムなソファだ。
館内の裏側には木の長〜いベンチが置かれている。ここに座ってパンフレットを見ている人、スマホで検索している人、写真を撮っている人、外を眺めている人、さまざまな使い方ができる汎用性の高いベンチだ。このベンチからが館内から外を見るときに、一番開けていて広角で見える。外とのつながりを感じられる場所だ。
ほかにも名作といわれる椅子が多数。フィリップ・スタルクのラ・マリー、アルネ・ヤコブセンのスワンチェア、アントチェアなどがある。
さすが美術館だけあって、休憩するための椅子にとどまらない体験性とアート、そして楽しさが潜んでいる。美術館にある椅子は一番身近なアート。座ってこそ、そのアートを感じたことになるので、ぜひコンプリートしてすべて座ってみてほしい。
4. かつて学校だった頃を偲ぶ、樹木と札
現在、金沢21世紀美術館が建っている場所は、もともと金沢大学附属小学校・中学校があった。その名残を敷地入口の石垣に見ることができる。
敷地内の木々は、すべて小中学校時代のものがそのまま引き継がれている。よくみると、木それぞれに絵と解説のプレートが掲げられている。これらは後輩にあたる、現役の金沢大学付附属中学校の美術部員たちが描いたもの。美術の種はきちんと引き継がれている。
木は50年・100年という期間で育っていくもの。金沢大学附属小学校・中学校の卒業生たちにとっては懐かしく、それ以外の人にも木を通して郷愁に思いを馳せることができそうだ。
5. 地域のお店と連携してお得! アートdeまちあるき
もともと地域のにぎわい創出を事業のコンセプトに置いている金沢21世紀美術館では、「アートdeまちあるき」という取り組みで、地域のサポートショップと連携している。その数、約150店! 具体的には、美術館の観覧券半券を持っていくと、割引や特典が受けられるというもの。コンパクトなまち・金沢の中で約150店舗なので、うまく使えばかなりお得だ。
逆に、サポートショップにはコースターが置いてあり、それを美術館に持ってくると入場料が割引(団体料金の金額)になる。相互にお得になる仕組みになっている。
実はサポートショップには年間パスポートが配られている。だからいち早く展示を見ている可能性も高く、リアルタイムで行われている展示の「生の情報」を得ることができるかもしれない。アートが好きそうな店主がいたら、話しかけてみては? 結局、クチコミが一番刺さったりするものだ。
協力商店街
片町商店街 / 竪町商店街 / 香林坊商店街 / 新竪町商店街 / 広坂振興会 / 柿木畠振興会 / 木倉町商店街 / せせらぎ通り商店街 / 里見町あかねや橋通り商店街 / 片町伝馬町商店街 / 新天地商店街 / 金沢百番街
6. 市民じゃないけど「友の会」会員と言いたい
市民の参加型活動として、市民ギャラリーやシアター21がある。例えば自分たちで絵を描いている人、写真を撮っている人などの発表の場となっている。
年間パスポートともいえる「友の会」会員は、年会費3000円で主催展覧会が1年間無料。金沢に住んでいないとあまり意味がない、ということもない。会員限定の美術館情報をゲットできたり、ニュースレターが年5回ほど送られてくる。金沢以外の人でも、これを楽しみにしている会員は結構多いのだ。上記「アートdeまちあるき」加盟店でも優待を受けられるので、入っていて損はない会員サービスだろう。
7. 10年ごとに最先端に。CFCLによる3代目ユニフォームとは
何度か金沢21世紀美術館を訪れたことがある人なら、今年になって「あれ? 館内の雰囲気が変わったかも」と思う鋭い人がいるかもしれない。そう、スタッフのユニフォームが新しくなった。2004年開館時にはイッセイミヤケの滝沢直己氏、2014年10周年のときにミナペルホネンの皆川明氏とデザイナーが移り代わり、2024年に20周年迎え、3代目ユニフォームはCFCLの高橋悠介氏が手がけることになった。
再生素材など、サステナビリティへ積極的に取り組む高橋氏らしく、再生ポリエステルなどを使用。美術館のガラスの雰囲気に合うブルーを基調にしている。