大屋家は、土塀が連なる長町武家屋敷群跡の中心に位置する、平士級の武家屋敷の遺構です。武家屋敷の建築本体としては、この地区で唯一残っているものであり、敷地周囲を囲む土塀も当時の遺構で、東側と南側の土塀は瓦葺きに変更されていますが、北側の土塀は木端葺きの姿を残しています。
建築年代は明らかではないものの、江戸後期は下らないものと思われます。
建物はアズマダチで、屋根は明治末期に板葺石置屋根から瓦葺の屋根に変更されたもので、板葺石置屋根だった当時の古写真が残されています。現在も小屋裏には当時の小屋組の遺構がそのまま残されています。
建物の主屋は、間口8.5間、奥行8.5間、西側と南側にはそれぞれ、明治末期から大正初期に増築された新建部分と隠居部屋が附属しています。
土塀と板塀で囲われた敷地内の庭も、江戸時代の面影を現在に残す貴重な遺構です。前庭は砂利敷きで、左右にはそれぞれ座敷庭と勝手前の庭とを隔てる板塀が連なります。
南側土塀の外側には大野庄用水が流れており、その流れが敷地南西の隅角部で土塀の下から敷地内に引き込まれています。この流れはかって、生活用水や泉水として利用されていました。
このように、大屋家は、金沢の中心部に位置する江戸時代の平士級武家屋敷の様式が、ほぼ完全なかたちで残る遺構として極めて貴重です。

基本情報

住所
石川県金沢市長町1丁目1番37号