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この人に聞く

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分業が主流の加賀友禅を「一貫制作」
―下村さんが加賀友禅作家を目指した経緯を教えてください。

私は祖父の代から加賀友禅の地染めを家業とする家に生まれました。私自身は金沢美術工芸大学を卒業した後、父親のアシスタントとして地染めの仕事を始めましたが、その後、修業を経て加賀友禅作家の登録をし、現在に至っています。

―着物を制作する上で重視されていることは何でしょうか。

一般的に加賀友禅の着物は分業制で制作されます。加賀友禅作家が図案を考えて彩色をし、地染め職人が着物全体の色を染めます。しかし私の工房では、彩色と地染めはもちろん、共同作業所を利用して加賀友禅の制作にかかわるほぼすべての作業を一貫して行うことができます。 私は、実際に着られる方の注文に応じて着物を作る、いわゆる「あつらえもの」を多く手掛けています。そうした際に心がけているのが、その方の好みはもちろん、身長、肌の色までも考慮して、模様や地色を決めることです。これは全工程を一貫して工房内で行える強みだといえますね。

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広い作業場に反物を張り、「地染め」の準備をする下村さん。
実際にふれてもらってこそ、加賀友禅の魅力が伝わる
―下村さんは、観光で金沢を訪れた方向けに体験プログラムを実施されています。

私の工房は金沢の中心部から少し離れた場所にあるのですが、それでもたくさんの方が訪ねてきてくれます。市内のホテルに宿泊して工房に通い、3日がかりで「染め帯」を完成させた方もいらっしゃいますし、結婚の記念に両親にプレゼントしたいからと「ガラス絵皿」を作った若いカップルもいらっしゃいます。体験プログラムといっても特にマニュアルはなく、その人に作りたいものを自由に作ってもらって、私はお手伝い役に徹します。みなさんにとても喜んでいただいていますよ。 最近は工房を見学したいという外国の方も増えています。これまでにアメリカ、オーストラリア、中国、韓国、コロンビアといろんな国の方々がいらっしゃいました。私は、英語は話せませんが、ものづくりの仕事ですから、言葉にしなくても通じるものがあると実感しています。 市民向けということでは、10年以上にわたって市内の小学校で加賀友禅の作品づくりを指導したり、工房内外で染色教室を開いたりと、いろんな機会、場所で、加賀友禅の魅力発信に努めています。 残念ながら普段の暮らしの中で着物を着る機会は減っています。ですからいろんな機会、場面を利用して、たくさんの人に加賀友禅の魅力にふれてもらいたいのです。

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ハガキ大の染額は、下村さんが主宰する染色教室の生徒さんの作品。
―下村さんが考える金沢の魅力、また金沢の工芸の魅力について教えてください。

旅先でしたいことといえば、「見ること」「食べること」「買うこと」でしょうか。私は、自分で手を動かしてものをつくる体験は、それらに次ぐ観光の楽しみになると考えています。そうした点では金沢には加賀友禅だけでなく、金箔工芸などさまざまな伝統的なものづくりが集積しています。各店舗・施設で多彩な体験プログラムも用意されていますから、金沢を訪れたらぜひ挑戦してもらいたいと思います。

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加賀友禅の特徴のひとつは、多色ながらも落ち着いた色合い。「彩色」の工程では、何種類もの筆を使い分けて模様を染めていく。
プロフィール

下村利明さん
加賀友禅作家/石川県デザイン・染色職業訓練指導員
1962年金沢生まれ。金沢市専光寺の加賀友禅染色団地内に工房「友禅アート染華」を構える。日展工芸部門入選、日本現代工芸美術展現代工芸賞など受賞多数。個展活動も積極的に行っている。

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